中小企業の経営者のみなさん!「旅費規程(りょひきてい)」、ちゃんと整備していますか? もし「名前は聞いたことあるけど…」程度なら、今すぐ導入を検討すべき「最強の節税対策」を見逃しているかもしれません。
旅費規程を正しく整備・運用すれば、①会社の法人税を節税しつつ、②出張した役員や従業員の「手取り」も(税金がかからずに!)増やすことができる、まさに一石二鳥の「おすすめ」制度なんです。
そもそも「旅費規程」って何?
旅費規程とは、その名の通り「出張」に関するルール(日当、宿泊費、交通費など)を定めた社内規程のことです。なんだ、それだけか、と思うかもしれませんが、この規程のキモは「日当(にっとう)」にあります。
日当とは、出張に行った際の実費(交通費やホテル代)とは別に、「出張中の細々とした経費や精神的・肉体的疲労に対する手当」として支給されるお金のことです。
この「日当」、旅費規程に基づいて支給されると、税務上ものすごいパワーを発揮します。
会社側と個人側、ダブルでお得!
なぜ旅費規程が「最強」なのか。それは、会社と個人の両方に大きなメリットがあるからです。
- 【会社側のメリット】
支給した日当は、全額「旅費交通費」として経費(損金)にできます。つまり、会社の利益が圧縮され、法人税の節税につながります。さらに、国内出張の日当は消費税の課税仕入れ※として扱えるため、消費税の節税にもなるんです!
※インボイス制度開始後も、日当のような従業員への支払いはインボイス不要の経費として認められています。 - 【個人側のメリット】
こちらが最大のポイントです。役員や従業員が受け取った日当は、一定の範囲内であれば「非課税所得」として扱われます。
これは、税金(所得税や住民税)がかからない所得のことです。通常、会社から受け取る給与や役員報酬には税金がかかりますが、旅費規程に基づく日当は「給与」ではなく「実費弁償(※)」とみなされるため、税金がかからないのです。
※実費弁償:実際にかかった経費を補填するもの、という扱い。
税金がかからない、ということは、社会保険料(健康保険料や厚生年金保険料)の計算対象にも含まれません。同じ1万円でも、給与で受け取るより、日当で受け取った方が、丸々手元に残る金額が大きくなるのです!
税務調査で否認されない「おすすめ」の作り方
こんなに美味しい制度ですから、当然、税務署も厳しくチェックします。「作っただけ」では通用しません。税務調査で「これは実質的な給与(役員賞与)だ!」と否認されないための、重要な注意点を押さえましょう。
1. 「常識的な」金額設定
日当がいくらならOK、という明確な法律はありません。しかし、あまりに高額(例えば日当5万円など)だと、給与とみなされる可能性が高まります。同業他社や世間一般の相場(大企業なども参考に)を踏まえ、常識の範囲内で設定しましょう。(役職によって差をつけるのはOKです)
2. 全従業員に適用する
「社長だけ」を対象にした規程は、利益操作(=役員賞与)とみなされるリスクが非常に高いです。パートやアルバイトを含め、出張に行く可能性のある全従業員を対象として公平に作成・運用するのが鉄則です。
3. 「運用実態」の証拠を残す(最重要!)
規程を作っても、運用実態がなければ意味がありません。税務調査で必ずチェックされるのが「出張報告書(旅費精算書)」です。
「いつ、誰が、どこへ、何の目的で、何泊したか」を明確に記載した報告書を作成し、それに基づいて日当や実費が精算されている、という一連の流れ(証拠)をしっかり残してください。これが無いと、せっかくの日当が否認されてしまいます。
今すぐ「守り」の経営戦略を!
旅費規程は、一度しっかり整備してしまえば、出張のたびに合法的な節税効果を生み出し続ける、非常に強力な経営ツールです。
物価高や人手不足、不安定な経済状況が続くいまだからこそ、こうした「知っている人だけが得をする」制度をしっかり活用し、会社と従業員の手元に残る現金を1円でも多く守ることが重要です。
「ウチの会社でも導入したい!」「今の規程が古くて不安…」という経営者の方は、ぜひ私たち税理士・中小企業診断士にご相談ください。規程の作成から、税務調査をクリアできる「おすすめ」の運用方法まで、全力でサポートします!