2026年(令和8年)の幕開けとともに、実は会社の経理実務に直結する大きな改正がスタートしています。それが「退職所得課税の見直し」です。これまで「役員だけやっておけばOK」だった手続きが、今年1月からは従業員全員に義務化されるなど、実務への影響は小さくありません。
今回の改正で特に重要なのは、「源泉徴収票を出す範囲がめちゃくちゃ広がったこと」と「書類の保存期間が延びたこと」の2点です。「知らなかった」では済まされないこの変更点、サクッと押さえておきましょう!
改正ポイント1:源泉徴収票は「全員」提出へ!
これまで、従業員が退職した際に作成する「退職所得の源泉徴収票」。これ、税務署へ提出するのは「法人の役員」だけで良かったですよね?
しかし、令和8年1月1日以降に支払う退職金からは、全ての居住者(つまり一般の従業員も含めた全員)について、源泉徴収票の税務署への提出が義務化されました。
退職金を支払った際に、会社が作成する書類のこと。いくら払い、いくら税金を天引きしたかが記載されています。これまでは本人に渡す用とは別に、税務署に出すのは「役員分のみ」という省略規定がありましたが、これが廃止されました。
つまり、これからはパートさんやアルバイトさんが退職金を受け取って辞める場合でも、会社は必ず税務署へ源泉徴収票を提出しなければなりません。事務負担が確実に増えるので、経理担当者への周知が必須です。
改正ポイント2:書類の保存期間が「10年」に延長
もう一つの大きな変更点が、退職金の申告書の保存期間です。
退職金を受け取る人が会社に出す「退職所得の受給に関する申告書」。これ、会社側での保存義務はこれまで「7年間」でした。しかし、令和8年1月からは、「老齢一時金」に該当する場合、保存期間が「10年間」に延長されました。
「老齢一時金」ってなに?
少し難しい言葉が出てきましたが、簡単に言うと「定年退職などで、高齢になってから受け取る一時金」のことだと思ってください。正確には、退職所得控除の計算において特例の対象となるようなケースが関係しています。
なぜ期間が延びたかというと、過去に受け取った退職金との重複期間の調整など、税金の計算ルールがより厳密になったからです。過去のデータを確認する必要が出てきたため、保存期間も長く設定されたんですね。
通常の退職金なら7年のままでいい場合もありますが、実務上は「退職関係の書類は一律10年保存」と決めてしまった方が、管理ミスを防げるのでおすすめです。
今すぐやるべきアクションプラン
今回の改正は、知ってさえいれば対策は難しくありません。以下の3点をすぐに実行してください。
- 経理担当者への共有:「退職時の税務署への提出書類が増えるよ」と伝える。
- 業務マニュアルの更新:「退職金の源泉徴収票=全員提出」「書類保存=10年」に書き換える。
- システムの確認:給与・人事システムが新様式に対応しているかベンダーに確認する。
制度が変わったばかりの時期は、うっかりミスが一番起きやすいタイミングです。「いつもの処理」で流してしまわないよう、今のうちに社内のルールを再確認しておきましょう。細かい運用で迷ったら、いつでも私たちに相談してくださいね!