スーパーの棚からお米が消え、価格が高騰したニュースは記憶に新しいですよね。そんな中、従業員の生活支援として「お米券」を配布したいという相談が増えています。しかし、これを単なる「経費(福利厚生費)」として処理しようとすると、税務署から待ったがかかる可能性が高いのです。
結論から言います。「お米券」は、原則として「給与」として課税対象になります。しかし、諦めるのはまだ早いです。正しい知識があれば、従業員の心をつかむ最強のツールになり得ます。
「お米券」=「現金」!? 税務の厳しい現実
「えっ、物ではなく券を渡すだけなのに給与になるの?」と驚かれるかもしれません。しかし、税務の世界では「換金性が高いもの」は「現金」とほぼ同じとみなされます。
お米券は金券ショップ等で容易に換金できるため、会社が従業員に渡すと、それは「お給料を上乗せして払った」のと同じ扱い(現物給与)になり、所得税の源泉徴収が必要になるのが原則です。
福利厚生費として認められる「例外」とは?
では、絶対に給与課税されてしまうのでしょうか?実は、例外的に福利厚生費として認められるケースも存在します。ポイントは「記念品」としての性格です。
お金以外の物で給与を支払うことを「現物給与」と言い、原則は課税対象です。ただし、創業記念や永年勤続表彰など、特定の記念に社会通念上(世間一般の常識的な範囲)の金額で支給されるものは、福利厚生費として非課税になることがあります。
狙い目は「創業記念」や「レクリエーション」
例えば、会社の創業記念品として、全従業員に一律でお米券を配布する場合、常識的な金額(数千円程度)であれば、福利厚生費として認められる可能性が高くなります。また、社内イベント(忘年会や運動会)の景品として渡す場合も同様です。
逆に、「物価高対策手当」として毎月定期的に配ると、これは実質的な賃上げとみなされ、間違いなく給与課税の対象となります。
あえて「給与」として配るという経営判断
ここで一つ、提案があります。税金を気にして配布を躊躇するよりも、「給与課税されてもいいから配る」という選択肢です。
例えば、5,000円分のお米券を配るとします。給与として課税されたとしても、従業員の負担増は数百円〜千円程度(所得税・住民税・社会保険料等)。手元には確実にお米券が残ります。
今のようにお米が高騰している時期に、「会社が食卓を支えてくれた」という事実は、金額以上のエンゲージメント(会社への愛着)を生みます。現金を5,000円振り込むよりも、「お米券」という現物の方が「生活を心配してくれている」というメッセージがダイレクトに伝わるからです。
まとめ:メッセージを込めて賢く活用しよう
お米券の配布を検討する際は、以下の3点をチェックしてください。
- 原則は「給与課税」のリスクがあることを理解する。
- 非課税を狙うなら「創業記念品」などの名目で、常識的な金額に抑える。
- 課税覚悟で配るなら、「会社からのメッセージ」をしっかり添えて渡す。
税務リスクを正しく理解した上で、従業員が本当に喜ぶ形での還元を検討してみてください。迷ったときは、配布する前に私たち税理士に一声かけてくださいね。最適な「渡し方」を一緒に考えましょう!