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スノボで骨折!まさかの時、会社員が使える
社会保険(健康保険)の最強手当とは?

いよいよ冬のレジャーシーズンに突入ですね!スノーボードやスキーは最高に楽しいですが、もし転倒して骨折し、長期間仕事を休むことになったら…?「有給休暇も使い果たしそうだし、お給料がもらえない…」そんな絶望的な状況を救う、強力な制度があります。

それが、会社の社会保険(健康保険)から支給される「傷病手当金(しょうびょうてあてきん)」です。これは、プライベートの怪我や病気であっても、生活を支えるために給与の一部が補償される、会社員(被保険者)の強力な権利。意外と知られていないこの制度、経営者も従業員も絶対に知っておくべきです!

「傷病手当金」って、いったい何?

傷病手当金とは、健康保険の加入者本人が、業務外(仕事中や通勤中以外)の病気や怪我で働けなくなった時に、生活保障として支給されるお金のことです。そう、ポイントは「業務外」。つまり、「休日にスノボで骨折した」ケースは、まさにこの制度の対象になるのです。

支給されるための「4つの条件」

この手当をもらうには、以下の4つの条件をすべて満たす必要があります。

  1. 業務外・通勤外の病気や怪我であること
    (例:スノボで骨折、インフルエンザ、うつ病など)
  2. 療養のために仕事に就けない(労務不能)状態であること
    (医師の証明が必要です)
  3. 連続して3日間(待期期間)休んでいること
    (有給休暇、公休、欠勤を問いません。連続3日が重要です)
  4. 4日目以降も休んでおり、その期間の給与が支払われないこと
    (有給休暇を使った日や、会社から給与が出た日は対象外です)

特に重要なのが「連続3日間の待期期間」です。この3日間は支給されませんが、4日目から支給が開始されます。


従業員Aさん
先生、やっちゃいました…!週末スノボで転んで、足首を骨折…。全治1ヶ月で、出社もテレワークも無理そうです。

うわっ、それは大変!お大事にしてください。…でも、給与の心配は少し軽減できますよ。「傷病手当金」を申請しましょう!

税理士Bさん

従業員Aさん
え?プライベートの怪我なのに、会社や保険からお金がもらえるんですか?有給休暇とは別ですか?

別です!会社の健康保険(協会けんぽや組合健保)に加入していればOKです。連続3日休んだ後の4日目から、お給料のだいたい2/3が支給されます。すぐに会社の人事・総務担当に連絡してください!
税理士Bさん

いくら、いつまで貰えるの?

「給与の約2/3」と聞いてもピンと来ないかもしれません。計算は少し複雑ですが、ザックリいうと以下の通りです。

【傷病手当金の計算式(概要)】

1日あたりの支給額 =
(支給開始日以前の直近12ヶ月間の平均給与※) ÷ 30日 × 2/3

※「標準報酬月額」という、社会保険料計算用の給与区分を使います。

例えば、月給30万円(標準報酬月額30万円)の人なら、1日あたり約6,667円が支給されます。1ヶ月(30日)休業すれば、約20万円が支給される計算です。これは生活の大きな支えになりますよね。

支給期間は、最長で1年6ヶ月。万が一、怪我や病気が長引いても、当面の生活が保障されるのは非常に心強い制度です。

【重要】経営者と個人事業主の「大きな違い」

この強力な制度ですが、誰でも使えるわけではありません。ここに経営者と個人事業主の大きな落とし穴があります。

経営者(社長)の場合

社長も、会社で社会保険(健康保険)に加入していれば、従業員とまったく同じ条件で「傷病手当金」を受け取ることができます。「社長だから使えない」ということはありません!

個人事業主・フリーランスの場合

ここが最大の注意点です。個人事業主やフリーランスの方が加入する「国民健康保険」には、原則として「傷病手当金」の制度はありません。(※一部の市区町村や、特定の業種の国民健康保険組合では独自に設けている場合もあります)

つまり、個人事業主がスノボで骨折して1ヶ月働けなくなったら、収入は完全にゼロになるリスクがあるのです。

「働けないリスク」にどう備えるか

社会保険(健康保険)は、病院代が3割負担になるだけの制度ではありません。会社員にとっては「働けなくなった時の所得補償」という、非常に手厚いセーフティネットでもあるのです。

経営者の方へ:
従業員が安心して療養できる環境は、会社の魅力そのものです。この制度を社内で周知し、万が一の際は会社が申請をしっかりサポートする体制を整えておきましょう。

個人事業主・フリーランスの方へ:
自分には「傷病手当金」というセーフティネットがない、という事実を重く受け止める必要があります。だからこそ、働けなくなった時の収入減に備える「民間の所得補償保険」や「就業不能保険」への加入を、経営戦略の一環として真剣に検討してください。

ご自身の立場に合わせて、万が一のリスクに正しく備えること。それこそが、ビジネスと生活を守るための、最も重要な「守りの一手」です。

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