先日、少しお休みをいただいてハワイに行ってきました!青い空と海に癒やされましたが、職業柄、真っ先に気になったのが「税金」の違いです。
観光客として最も身近な「消費税」から、実は経営にも関わる「所得税の考え方」まで、アメリカと日本では税金の“常識”がまったく異なります。この違いを知らないと、将来グローバルにビジネスを展開する際に思わぬ落とし穴にはまるかもしれません。今日は、ハワイでの実体験を交えながら、日米の税金の違いを分かりやすく解説します!
違い①:レジで驚く!消費税(売上税)の「見え方」
ハワイのABCストアやレストランで、値札通りに払おうとしたら「あれ? 合計金額が違う!」と驚いた経験はありませんか?
日本では2021年から「総額表示(そうがくひょうじ)」が義務化され、値札の金額=支払う金額(消費税込み)が基本ですよね。一方、アメリカには「売上税(Sales Tax)」というものがあり、これは日本の消費税と似て非なるものです。
アメリカの「売上税」は、州、郡、市といった地方自治体が課税する税金です。そのため、地域によって税率がバラバラなのが最大の特徴です。例えば、私が行ったハワイ(オアフ島)は約4.7%ですが、ロサンゼルスは約9.5%、お隣のオレゴン州はなんと「ゼロ」なんです! しかも、食料品は非課税(軽減税率)だけど、レストランでの食事は課税されるなど、ルールも複雑です。
この「地域によって税率が違う」というのがポイントで、全米共通の値札を作るのが難しいため、値札は「税抜」が基本。レジに行って初めて「本体価格+売上税」の総額が分かる、というわけです。
違い②:どこに住んでも課税!?所得税の「範囲」
ここからは経営者として知っておきたい、より大きな違いです。それは「どこまでの所得に課税するか」という根本的なルールの違いです。
日本は基本的に「属地主義(ぞくちしゅぎ)」に近い考え方です。
これは、「日本国内で発生した所得」に対して課税するルールです。もちろん、日本の「居住者」であれば全世界の所得が課税対象ですが、もしあなたが海外移住して日本の「非居住者」になれば、日本国内での所得(例:日本の不動産収入など)以外には課税されなくなります。
一方、アメリカは強烈な「属人主義(ぞくじんしゅぎ)」を採用しています。
これは、「アメリカ国民(市民権や永住権保持者)であれば、世界のどこに住んでいようが、どこで稼いだろうが、すべての所得をアメリカに申告・納税しなさい」というルールです。
例えば、アメリカ人が日本に住んで、日本企業から給料をもらっていても、アメリカの税務当局(IRS)に確定申告(タックスリターン)をする義務があるのです。(もちろん、二重課税を避けるための仕組みはあります)
将来、海外支店を出す、アメリカ国籍の人を雇う、あるいはご自身が海外移住を考える際、この「属地主義(日本)」と「属人主義(アメリカ)」の違いは、税務戦略の根幹に関わる超重要ポイントとなります。
違い③:もう逃げられない!世界が動く「法人税」
最後に、少し時事ネタを。法人税についても、日米、そして世界は大きく動いています。
かつては、法人税率の低い国(いわゆる「タックスヘイブン」)に子会社を設立し、そこに利益を集めることで税金を安くする「節税策」が、一部のグローバル大企業で行われていました。
しかし、この状況を問題視したアメリカ(バイデン政権)の主導で、「グローバル・ミニマム課税」という新しい国際ルールが導入されました。これは、「世界中どこでビジネスをしても、最低15%の税金は負担してもらう」というルールです。
日本もアメリカもこのルールに参加しており、「税金が安い国に逃げて利益を出す」というやり方が、世界的に通用しなくなりつつあります。すぐに中小企業に影響する話ではないかもしれませんが、「税逃れは許さない」という国際的な流れは、知っておくべき重要なトレンドです。
ハワイのカラッとした空気とは裏腹に、税金の話はジメっとしがちですが(苦笑)、世界のルールは確実に変わっています。
「ウチは国内専門だから」と安心せず、仕入先が海外だったり、将来海外展開を夢見ているなら、ぜひグローバルな税務のアンテナも張っておきましょう。まずは、身近な海外(旅行先)の「なぜ?」から興味を持つのが、その第一歩です!