結論からお伝えします。2025年11月19日に改正所得税法施行令が公布され、マイカー通勤手当(自家用車・自転車等)の非課税限度額が引き上げられました!
この改正の最も重要なポイントは、**令和7年4月1日**まで遡って適用される点です。つまり、**4月以降**、改正前の限度額を超えて課税されていた従業員には、年末調整で税金が戻ってくることになります。企業にとっては、年末調整でこの精算処理を行うことが必須です。
正確な情報に更新!改正後の非課税限度額一覧
今回の改正は、片道の通勤距離に応じて定められている非課税限度額が全体的に底上げされました。特に長距離通勤者への影響が大きく、片道55km以上の区分では、月額の非課税限度額が**7,100円**もアップしています。
改正後の正確な金額を確認し、給与計算に反映させましょう。

会社が従業員に支払う通勤手当のうち、所得税や住民税をかけなくても良いとされる上限額のことです。この限度額内であれば、従業員の手取りは増え、会社側も源泉徴収(げんせんちょうしゅう:給与から税金を天引きする処理)の手間が減るメリットがあります。
【最重要】経理担当者がハマりがちな「遡及適用」の落とし穴
今回の改正で最も注意が必要なのが、この「遡及適用(そきゅうてきよう)」の取り扱いです。
1. 令和7年4月1日以降の課税分は「年末調整で精算」が必要!
改正後の非課税限度額は、**令和7年4月1日以後に支払われるべき通勤手当**に遡って適用されます。
もし、4月以降、従業員に支払っていた通勤手当が改正前の限度額を超えていたために課税されていた場合、その**課税されていた部分の一部または全部が非課税**になります。この「過納(かのう)」となった税額は、**本年の年末調整**で還付(かんぷ:払い戻し)しなければなりません。
2. 中途退職・入社者への対応にも留意
年の途中で退職した従業員についても、4月1日以降に課税されていた通勤手当がある場合は、非課税となる金額が増えます。この場合、**既に交付した源泉徴収票を再交付**する対応が必要となります。また、中途入社者が前職で課税されていた通勤手当についても、改正後の限度額に基づいて再計算し、年末調整に含めなければなりません。
今すぐやるべき「3つの行動」
この改正のメリットを最大限に享受し、法令を遵守するために、以下の3つの行動を速やかに実行しましょう。
- 給与計算システム・台帳の更新: 11月19日以降に支払う給与から、新しい非課税限度額が適用されるよう、ソフトの設定を更新。
- 令和7年4月1日以降の通勤手当の課税状況を再確認: 4月以降に遡って課税されていた金額を特定し、年末調整での精算(還付)の準備を行う。
- 中途退職者の源泉徴収票を確認: 4月1日以降に退職した社員の源泉徴収票が、改正前の金額に基づいて発行されていないか確認し、必要に応じて再交付の準備を進める。
税制改正は「知っているか、知らないか」で、企業のコストと従業員の手取りに大きな差が出ます。
今回のマイカー通勤手当の引き上げは、特に**遡及適用**があるため、年末調整の前に必ず対応が必要です。給与計算の正確な設定や、その他税務・経営に関するご相談があれば、いつでも頼ってください!私たちは、貴社の「働く人を守る経営」を全力で応援します!