「減税してほしければ、ちゃんと給料を上げなさい!」——国からのそんな強烈なメッセージが、令和8年度税制改正大綱に盛り込まれました。いわゆる「特定税額控除規定の不適用措置(通称:ムチ税制)」の強化です。
「大企業の話でしょ?ウチには関係ないよ」と思われた中小企業の経営者様、ちょっと待ってください。この改正は、国が本気で「賃上げと投資」を求めている証拠であり、今後の経済全体のトレンドを読み解く重要なサインなんです。一体何が変わるのか、分かりやすく解説します!
そもそも「ムチ税制」って何?
国の税制には「アメ(減税措置)」と「ムチ(適用除外)」があります。企業が研究開発や設備投資をした時に税金を安くする制度(アメ)がたくさんありますが、これには条件があります。
それが、「儲かっているのに、賃上げも設備投資もケチっている会社には、減税メリットを使わせないぞ!」というルール。これが「特定税額控除規定の不適用措置」です。
資本金1億円超の大企業などを対象に、「所得が増えている(黒字拡大)」にもかかわらず、「賃上げに消極的」かつ「設備投資にも消極的」な場合、研究開発税制などの主要な税額控除(税金を安くする制度)を受けられなくするペナルティ規定のことです。
令和8年4月から!厳しくなる3つのポイント
令和8年度税制改正大綱で示された主な強化ポイントは以下の通りです。特に賃上げに対する要求レベルが上がっています。
1. 賃上げ要件の数字がアップ!
これまで、特定の大企業(資本金10億円以上かつ従業員1000人以上など)は、継続雇用者給与等支給額(ずっと働いている従業員の給与総額)が前年度より「1%」以上増えていないとアウトでした。
これが改正後は「2%未満」ならアウトに引き上げられます。つまり、毎年2%以上のベースアップや定期昇給を継続しないと、せっかくの減税メリットが没収されてしまうのです。
2. 「どっちか」ではなく「両方」やらないとダメ!?
ここが今回の大きな変更点です。これまでは「賃上げ」か「設備投資」、どちらか一方でも頑張っていればセーフ(不適用措置の対象外)でした。
しかし改正後、一部の税制(地域未来投資促進税制など)を利用する場合、「賃上げ」と「設備投資」の両方を積極的に行っていないと、減税が受けられなくなる見込みです。「設備投資はしたけど賃上げはゼロ」という言い訳が通用しなくなります。
3. 大胆な設備投資税制にも「ムチ」あり
新設される予定の「特定生産性向上設備等投資促進税制(大胆な設備投資税制)」にも、同様の厳しい要件が設けられます。要件を満たせないと、税額控除だけでなく「即時償却(買った年に全額経費にする最強の節税)」までもができなくなる可能性があります。
この制度自体は大企業向けですが、親会社や取引先の大企業が「賃上げ」に必死になることで、人材獲得競争がさらに激化することが予想されます。中小企業にとっても、賃上げ原資の確保(=価格転嫁や生産性向上)は待ったなしの課題と言えるでしょう。
まとめ:時代の風を読んで「攻め」の経営を!
今回の改正から分かることは、国がなりふり構わず「賃金と物価の好循環」を作ろうとしていることです。
厳しい話ばかりしましたが、逆に言えば、賃上げや投資に前向きな企業には、中小企業向けの「賃上げ促進税制」や「省力化投資補助金」といった手厚い「アメ」も用意されています。
「ムチ」を恐れるのではなく、国の支援策をフル活用して、従業員も会社も豊かになる「攻めの経営」を目指していきましょう!自社でどんな優遇税制が使えるか気になる方は、ぜひお気軽にご相談くださいね。