毎年のように日本列島を襲う台風。最近も各地で甚大な被害が出ています。もし台風で家が壊れたり、車が飛んできたものに傷つけられたりしたら、その修理費用の負担は本当に大きいですよね。
しかし、あきらめないでください!その損害、「雑損控除(ぞうそんこうじょ)」という制度を使って確定申告をすれば、納めた税金(所得税や住民税)の一部が戻ってくる可能性があるんです!
「雑損控除」って、いったい何?
「雑損控除」と聞いても、ピンとこない方がほとんどだと思います。これは、簡単に言えば「アクシデントによる損害を、税金の計算上、考慮しますよ」という制度です。
具体的には、「災害・盗難・横領」によって、自分や家族(生計を一つにする親族)が持っている「生活に必要な資産」に損害を受けた場合に、その損失の一部を「所得」から差し引くことができます。これが「所得控除」です。
税金は、個人の「所得(もうけ)」に対してかかります。所得控除とは、その「所得」から一定の金額を差し引くことができる仕組みのことです。所得が減れば、それにかかる税金も安くなる、というわけですね。医療費控除やふるさと納税(寄附金控除)も、この所得控除の仲間です。
どんなものが対象になるの?
雑損控除が使えるのは、「生活に通常必要な資産」です。具体的には以下のようなものです。
- 住宅:住んでいる家屋。
- 家財:家具、家電製品、衣服など。
- 車両:通勤や日常の買い物などに使っている車。
ただし、注意点もあります。例えば、事業で使っている車やパソコンは、雑損控除ではなく「事業経費(損失)」として処理します。また、1個(1組)の価額が30万円を超える貴金属や骨董品などの「ぜいたく品」は対象外となります。
どうやって手続きするの?
雑損控除を利用するためには、「確定申告」が必要です。
「自分は会社員で年末調整をしているから関係ない」と思っていませんか? 雑損控除は年末調整では手続きできません。会社員の方でも、ご自身で税務署に確定申告書を提出する必要があります。
確定申告で必要な「証拠」
申告の際は、損害の事実と金額を証明する「証拠」が不可欠です。万が一の時のために、以下のものを必ず準備・保管しておきましょう。
- 被害状況がわかる写真:(必須です!スマホでたくさん撮っておきましょう)
- 修理費用の見積書や領収書:(いくらかかったかの証明)
- 保険金などの補てん額がわかる書類:(保険会社からの支払通知書など)
- (あれば)自治体が発行する「り災証明書」
- 災害関連支出の領収書:(例:壊れた家の撤去費用、土砂の片付け費用など)
雑損控除の計算は少し複雑です。簡単に言うと、「(損害額+災害関連支出-保険金)-(総所得の10%)」または「(災害関連支出-5万円)」のどちらか多い方の金額を、所得から差し引くことができます。
もし被害に遭われて、「計算が難しそう」「自分が対象になるかわからない」と不安に思ったら、まずは証拠書類を集めて、私たち税理士にご相談ください。
災害はいつ起こるかわかりません。被害に遭った時の経済的負担を少しでも軽くするために、こういう制度があることをぜひ覚えておいてください。備えあれば憂いなし、です!