オフィスや店舗を借りている経営者の皆さん、あなたの大家さん(オーナー)は今、どこに住んでいますか?もし大家さんが海外に移住して「非居住者」になった場合、家賃を今まで通り満額振り込んでいると、大変なことになります。
実は、あなたが大家さんの代わりに、家賃の約20%を税務署に納める義務が発生する可能性があるのです。「知らなかった」では済まされない、意外な落とし穴について解説します。
家賃の20.42%は「税務署」へ払うルール
日本の税法では、海外に住んでいる人(非居住者)に対して、日本国内の不動産の家賃を支払う場合、借り主(あなた)が家賃の20.42%を天引き(源泉徴収)して、税務署に納付しなければならないというルールがあります。
簡単に言うと、日本国内に住所がなく、かつ現在まで引き続いて1年以上日本に住んでいない人のことです。外国人はもちろん、海外転勤や移住をした日本人もこれに含まれます。
つまり、家賃が10万円の場合、大家さんに渡していいのは79,580円だけです。残りの20,420円は、あなたが翌月10日までに税務署へ払わなければなりません。
「事業用」で借りている人は要注意!
この恐ろしいルール、すべての借主に適用されるわけではありません。以下の条件に当てはまる場合、源泉徴収の義務(=税金を納める義務)が発生します。
- 借り主が法人(会社)である場合
- 借り主が個人でも、「事業用(店舗・事務所など)」として借りている場合
つまり、会社経営者や個人事業主がオフィスや店舗を借りている場合、大家さんが海外在住ならほぼ間違いなく対象になります。
個人の「自宅」ならセーフ
逆に、個人が自分や家族が住むための「社宅以外の自宅」として借りている場合は、原則として源泉徴収は不要です。ここが唯一の救いです。
もし気付かずに満額払ってしまったら?
これが一番怖いパターンです。あなたが善意で家賃10万円を満額大家さんに払い、その後税務署の調査が入ったとします。
税務署はあなたに対して「源泉徴収漏れですので、20,420円を納税してください」と言ってきます。あなたが「大家さんに全額払っちゃいました!」と言っても通用しません。
結果として、あなたは大家さんに「払いすぎた税金分を返してください」と交渉しなければならず、もし連絡がつかなければ、その2万円はずっとあなたの持ち出し(損失)になってしまうのです。
今すぐやるべきアクションプラン
無用なトラブルや損失を避けるために、以下の3点を確認しましょう。
1. 大家さんの住所を確認する
契約書や、毎月の請求書、あるいは年賀状などで、大家さんの住所が国内にあるか確認してください。「最近海外に行ったらしい」という噂レベルでも要注意です。
2. 契約内容を見直す
もし大家さんが非居住者だと分かったら、すぐに不動産管理会社や大家さんに連絡を。「税法上の義務があるので、来月からは20.42%を差し引いて振り込みます」と伝えましょう。
3. 納付書を作成する
差し引いた税金は、翌月の10日までに「非居住者・外国法人の所得についての所得税徴収高計算書」という納付書を使って税務署に納めます。書き方が不安な場合は、私たち専門家にご相談ください。
「知らなかった」で損をするのは、いつも支払う側です。ビジネスを守るためにも、家賃の支払い先には敏感になっておきましょう!