法人の資産運用やWeb3ビジネス参入のために、暗号資産(仮想通貨)の保有を検討している経営者の皆様。実は2024年度の税制改正により、法人保有の暗号資産に関する税務ルールが大きく変わっているのをご存知でしょうか?
一定の要件を満たせば、他社が発行した暗号資産でも期末の時価評価の対象外(売却するまで課税されない)ようになっているんです!この事実、2026年になった今でも意外とご存知ない経営者の方が多いため、今回はルールの概要と「知っておくべき注意点」を分かりやすく解説します。
おさらい:企業を苦しめていた「期末時価評価課税」とは?
法人が事業年度の終わり(決算期末)に保有している資産について、購入時の価格(簿価)ではなく、その時点での市場価格(時価)で評価し直すルールのこと。時価が簿価を上回っていれば「評価益」として課税対象になり、下回っていれば「評価損」として計上されます。
暗号資産は価格の変動が非常に激しいため、期末にたまたま価格が高騰していると、手元に現金がないのに多額の税金だけを納めなければならないという、いわゆる「黒字倒産」のリスクがありました。このルールが、かつて日本企業がWeb3ビジネスや暗号資産市場に参入する際の大きな足かせとなっていたのです。
どうすれば時価評価の対象外になるのか?
2024年の税制改正により、自社で発行した暗号資産だけでなく、他社が発行した暗号資産(ビットコインやイーサリアムなど)であっても、以下の要件などを満たせば期末の時価評価対象外となります。
- 市場において譲渡を行うことに一定の制限が付されていること(簡単には売却できない状態になっていること)
具体的にはどうすればいいのでしょうか?実は、各暗号資産交換業者(取引所)が、この税制に対応した専用のサービスをすでに提供しています。
例えば、SBI VCトレードやCoincheck(コインチェック)、bitFlyer(ビットフライヤー)などの国内大手取引所では、「法人が保有する暗号資産に売買制限をかける(ロックする)」サービスが用意されています。法人は取引所に申し込んでこの売買制限措置を利用することで、税務上の要件を満たすことができ、期末の含み益への課税を合法的に回避できるのです。
ただし注意!ロックサービスにはハードルも…
期末の含み益への課税を回避できる便利なロックサービスですが、実は利用にあたって知っておくべきデメリット(注意点)もあります。
- 大口の保有が必要(1銘柄あたり1,000万円以上など)
現在提供されている多くのロックサービスは、利用条件が「1銘柄あたり1,000万円相当額以上」など、大口の保有を前提としています。数十万円から数百万円単位の少額運用では、そもそもサービスを利用できないケースがほとんどです。 - 事務手数料などのコストがかかる
売買制限の措置を利用するために、取引所に対して事務手数料等が発生します。時価評価を回避して先送りできる税額と、毎年かかる手数料のコストバランスをしっかりシミュレーションする必要があります。
新しいビジネスチャンスを逃さないために
法人での暗号資産保有は、税務上のハードルが下がった一方で、取引所のサービス仕様(最低金額や手数料)という新たな検討事項も生まれました。
取引所が提供する売買制限(ロック)サービスを上手く活用すれば、税務リスクをしっかりコントロールしながら、企業の資産運用やブロックチェーン技術を活用した新規事業への投資が十分可能な時代になっています。
「自社の場合、ロックサービスを使うメリットがあるのか?」と迷われた経営者の皆様は、実際の運用に移す前に、ぜひ我々のような暗号資産税務に強い税理士にご相談ください。最新の税制に基づいた最適なプランを一緒に構築し、貴社の新たな挑戦を全力でサポートいたします!