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Column

【令和8年度改正】社長の貸付金利息、税金が激増!?
「迂回融資スキーム」封じ込めの方針決定

同族会社のオーナー社長の皆様、会社にお金を貸し付けて受け取る「利息」の税金計算について、非常に重要なルール変更が予定されています。令和8年度税制改正により、いわゆる「迂回融資」を使った節税スキームが封じられる方針が固まりました。これにより、過去に良かれと思って組んだスキームが、逆に高額な税負担を招くリスクが出てきています。

なぜ「利息」の税金が問題になるのか?

社長が会社に資金援助をする際、大きく分けて「貸付金(金銭消費貸借)」として貸す方法と、「社債」として引き受ける方法の2つがあります。

「あれ?社債の利息って、株の配当みたいに税金安いんじゃなかったっけ?」と思った方、鋭いです。通常の社債利子は約20%の分離課税です。
しかし、同族会社の社長が、自社の社債利子を受け取る場合は例外的に「総合課税」扱いになってしまうのです。

【用語解説:総合課税と分離課税】

総合課税とは、役員報酬など他の所得と合算して税率が決まる仕組みです。所得が高い社長の場合、最大55%にもなります。
一方、分離課税は、他の所得に関係なく一律(約20%)の税率で済みます。

つまり、「普通の貸付金の利息(雑所得)」であっても「社債の利息(利子所得)」であっても、社長が自分の会社から受け取る場合は、結局は高額な総合課税から逃げられない仕組みになっているのです。

これまでの「抜け道」:特定法人を挟む

これを避けるために、これまでは「ある工夫」をするケースがありました。
「総合課税」になるのは、あくまで「同族会社から株主(社長)へ」直接利息が支払われる場合だからです。そこで、「第三者(特定法人)」を間に挟む手法が使われていました。

【用語解説:特定法人(とくていほうじん)】

今回の改正でターゲットとなる「特定法人」とは、いわゆる「トンネル会社」のことです。
形式上は第三者の顔をしていますが、実態としては同族関係者が介在しており、税負担を減らすために資金の経由地として使われる法人のことを指します。

  • ステップ1:社長が、自分の支配する別の会社(特定法人)にお金を貸す。
  • ステップ2:その特定法人が、社長のメインの会社(同族会社)にお金を貸す。
  • ステップ3:利息は「メイン会社 → 特定法人 → 社長」と流れる。

こうすることで、形式上は「第三者(特定法人)からの社債利子」となり、税率の低い(約20%)分離課税の適用を受けていたのです。しかし、この実質的には同じ財布の中で回しているだけの取引に対し、ついにメスが入ることになりました。

Aさん
先生!昔、資産管理会社を作って、そこを経由して会社に貸し付けた方が税金安いって聞いてやってるんですけど、これダメになるんですか?

その可能性が高いですね。今回の改正案では、間に会社を挟んでいても、実態としてメインの会社が保証していたり担保を出していれば、「直接貸したのと同じ」とみなされます。
税理士

Aさん
ええっ!税率20%のつもりだったのに、最高55%取られるってことですか?それは痛すぎます…。

はい、まさにその「課税逃れ」を防ぐのが目的です。ただ、すべての取引がダメなわけではありません。要件に当てはまるかどうかの確認が急務ですよ!
税理士

【要チェック】対象となる要件とは?

令和8年以降の改正方針では、特定法人(トンネル会社など)から受け取る利子であっても、以下の要件を満たす場合は総合課税の対象(最高税率55%)となります。

改正後の適用要件(案)

特定法人から株主への利子等の支払について、以下の状況にある場合:
① 同族会社の発行した社債等が担保として提供されている
② 同族会社が債務保証契約を行っている

つまり、「形式だけ別会社を通しているけれど、実質的な信用力や原資はメインの同族会社にある」と判断されるようなケースは、完全にアウトになるということです。

今すぐやるべき対策アクション

税制改正は「知らなかった」では済まされず、後から高額な追徴税額が発生する原因になります。令和8年の施行に向けて、今から準備できることがあります。

1. 現在の「お金の流れ」を可視化する

ご自身の会社への貸付金が、直接なのか、資産管理会社などを経由しているのか。また、その際に「債務保証」などの契約が結ばれていないか、契約書を確認してください。

2. 借入条件の見直し

もし該当するスキームを使っている場合は、融資形態の変更や、役員報酬とのバランスの見直しが必要です。無理な節税策を続けるよりも、シンプルに役員報酬で受け取った方が、社会保険料や将来の年金を考えると有利なケースもあります。

「ウチは大丈夫かな?」と不安になった方は、
改正が適用される前に、顧問税理士と連携して早めのシミュレーションを行いましょう。
正しい知識で、健全な会社経営を!

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