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競馬で勝ったら税金は?宝くじは?
「一時所得」の落とし穴と賢い対処法

「競馬で勝ったお金」と「宝くじの当選金」。どちらもラッキーな臨時収入ですが、税務上の扱いは全く異なります。結論から言うと、宝くじの当選金は「非課税」ですが、競馬やパチンコなどの利益は「一時所得」として課税対象となります。

この違いを知らないまま「どうせバレないだろう」と放置していると、ある日突然、税務署から思わぬ指摘を受けるかもしれません。今回は、この「一時所得」のややこしいルールと、特に注意すべき点について、わかりやすく解説していきます!

そもそも「一時所得」ってなに?

まずは基本の「一時所得」についておさらいしましょう。所得税法では、所得を10種類に分類していますが、一時所得は「ラッキーパンチで得た臨時の収入」といったイメージです。

【専門用語解説:一時所得】

一時所得とは、次の3つの性質を持つ所得を指します。
1. 営利を目的とする継続的行為から生じた所得ではないこと(=事業ではない)
2. 労務や役務の対価ではないこと(=給料ではない)
3. 資産の譲渡による所得ではないこと(=モノを売った利益ではない)
具体的には、懸賞の賞金品、競馬や競輪の払戻金、生命保険の一時金(保険料を自分で払っていた場合)、そしてパチンコの利益などが該当します。

最大の疑問! なぜ「宝くじ」は非課税なの?

多くの方が「競馬が課税なら、宝くじも課税じゃないの?」と疑問に思いますよね。これは非常に良い質問です。

宝くじの当選金が非課税である理由は、シンプルに「当せん金付証票法」という法律で「所得税を課さない」とハッキリ決められているからです。宝くじは、その収益が公共事業などに使われることが目的であり、購入金額に(実質的に)税金分が含まれている、という考え方もできます。だから、当選金に二重で税金がかからないようになっているんですね。


Aさん
先生!年末に競馬で100万円勝ちました! これって宝くじと一緒で税金かからないですよね?ラッキー!

おめでとうございます! でも、ちょっと待ってください。その利益、宝くじとは扱いが違うんです。原則として「一時所得」として確定申告が必要になる可能性がありますよ。

税理士

Aさん
ええー!? 競馬もパチンコも非課税だと思ってました…!

そこが一番の落とし穴なんです。宝くじのように「非課税」と定める法律がないため、競馬やパチンコ、競輪などの公営ギャンブルの利益は、原則すべて「一時所得」として課税対象になります。
税理士

注意点満載! 一時所得の計算方法

では、実際に競馬やパチンコで利益が出た場合、どのように税金を計算するのでしょうか。ここに最大の注意点があります。

一時所得の金額は、以下の計算式で求められます。

(総収入金額) - (その収入を得るために支出した金額) - (特別控除額 最高50万円)

そして、この計算結果のさらに1/2の金額を、給与所得など他の所得と合算して、最終的な税額が決まります(総合課税)。

最大の注意点:「支出した金額」のワナ

「なんだ、簡単じゃないか」と思いましたか? 問題は「その収入を得るために支出した金額」の範囲です。

例えば、競馬で考えてみましょう。年間トータルで「馬券代100万円、払戻金120万円」だった場合、「利益20万円だから50万円以下だし申告不要」とはなりません。

税務上の扱いは、「その当たり(収入)に直接かかった支出」しか経費として認められないのです。つまり、120万円の払戻金を得た「当たった馬券」の購入費用は経費になりますが、「別のレースのハズレ馬券」や「同じレースの別のハズレ馬券」は、原則として経費(支出した金額)に含めることができません。

【重要】ハズレ馬券は経費にならない?

前述の通り、競馬の場合は原則として「当たった馬券の購入費用」のみが経費となり、「ハズレ馬券」の購入費用は経費にできません。ただし、過去の裁判例では、長期間・継続的に・網羅的な馬券購入を(事業的に)行っていたケースで、ハズレ馬券代を経費(一時所得ではなく雑所得の経費)として認めたものもありますが、これは極めて例外的なケースです。

「どうせバレない」が一番危険

「競馬やパチンコでいくら勝ったかなんて、税務署は分からないだろう」——。確かに、これまでは現金手渡しが中心で、税務署が個人のギャンブル収支を把握するのは困難でした。

しかし、最近は状況が変わりつつあります。特に競馬や競輪のネット投票は、購入履歴や払戻金のデータがすべて記録として残ります。銀行口座に高額な入金が続けば、税務調査のきっかけにもなり得ます。

一時所得には年間50万円の特別控除があるため、他に一時所得がなければ、ギャンブルの利益が(経費を引いて)50万円以下なら申告は不要です。しかし、「経費の範囲」を間違えて計算していたり、生命保険の一時金など他の大きな一時所得があったりすると、申告漏れとなる可能性があります。

「これって一時所得かな?」「この計算で合ってる?」と少しでも不安になったら、ご自身で判断せず、私たち専門家にご相談ください。それが将来の大きなリスクを避ける、最も確実な一歩です。

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