令和8年度税制改正大綱が発表され、多くの実務家が目を疑いました。これまで政府が旗振り役として推進してきた「賃上げ促進税制」ですが、なんと大企業向けは「廃止」という衝撃的な決定がなされたのです。
「え、政府は賃上げを推奨していたんじゃないの?」と思われた方。その通りです。しかし、今回の改正は「インセンティブ(優遇措置)がなくても賃上げできる企業にはアメを与えない」という強いメッセージとも取れます。私たち中小企業経営者はこれをどう捉えるべきか、速報解説します。
一体何が変わるの?改正のポイント3つ
今回の改正で押さえておくべきポイントは以下の3点です。特に中堅・大企業の経営者様は要チェックです。
| 対象企業 | 改正内容(令和8年度以降) |
|---|---|
| 大企業 (従業員2000人超など) |
令和8年3月末で完全廃止 (経過措置なしの即時終了) |
| 中堅企業 (従業員2000人以下) |
令和9年3月末で廃止予定 要件厳格化(3%→4%賃上げ必須)して1年だけ延長 |
| 中小企業 | 今回は大きな変更の明記なし 「防衛的賃上げ」に苦しむ企業へ特化する方向で検討継続 |
大企業は「もはや税金の優遇がなくても人材確保のために賃上げしている」という判断から、バッサリと制度が切られました。中堅企業も要件が厳しくなり、事実上の「終了予告」です。
「教育訓練費」の上乗せも廃止へ
もう一つの大きな変更点は、教育訓練費の上乗せ措置の廃止です。これまで「社員研修にお金を使うと、さらに税金が安くなる」という仕組みがありましたが、会計検査院から「教育訓練費が増えた額以上に税金が安くなりすぎている(レバレッジが効きすぎ)」という指摘があり、廃止されることになりました。
国の税金が正しく、無駄なく使われているかをチェックする国の機関です。ここからの指摘は非常に強力で、今回の税制改正にも大きな影響を与えました。
ただし、中小企業向けの「子育て支援(くるみん)」や「女性活躍支援(えるぼし)」に関する上乗せ措置は残る見込みです。人材育成の戦略も、税制ありきではなく、本質的な投資対効果で考える時代に戻ったと言えるでしょう。
まとめ:税制に頼らない「本物の経営力」を
今回の改正は、ある意味で非常にシビアです。「税金が安くなるから賃上げしよう」という甘い動機は通用しなくなってきました。
特に中小企業の皆様にとっては、今後「利益が出ていない中での賃上げ」という厳しい舵取りが求められます。だからこそ、使える制度(省力化補助金など)はフル活用して生産性を上げ、原資を確保する必要があります。
制度は複雑化していますが、中小企業への配慮はまだ残されています。「うちはどうなるの?」と不安な方は、決算の前に一度シミュレーションをしてみましょう。攻めの経営と守りの税務、一緒に考えていきましょう!