2025年11月現在、金の価格は歴史的な高騰を続けていますね。この「金(ゴールド)人気」を受け、ご自宅に眠っていた金地金やアクセサリーを売却しようと考える方が急増しています。
しかし、そこで得た利益(儲け)が原因で、「会社員だから関係ない」と思っていた確定申告が必要になるケースが続出しています。売却した嬉しさのあまり申告を忘れると、後で手痛い「追徴課税(ついちょうかぜい)」が待っているかもしれません。
金(ゴールド)の売却益は何所得?
まず知っておくべきは、金(ゴールド)を売却して得た利益は、原則として「譲渡所得(じょうとしょとく)」という区分になることです。
「譲渡」とは、難しく聞こえますが「売却」のことです。つまり、資産を売却して得た利益(所得)を指します。土地や建物、株式などが有名ですが、金(ゴールド)やゴルフ会員権なども、この譲渡所得に含まれます。
「自分は会社員で年末調整もしているから、確定申告なんて関係ない」——そう思っている方こそ要注意です。給与所得者(会社員やパートの方)であっても、給与以外の所得(この場合は譲渡所得)の合計が年間20万円を超えた場合は、ご自身で確定申告を行う義務が発生します。
税金計算のキモ!「50万円控除」と「保有期間」
金の売却益(譲渡所得)の計算は、他の所得(例えば暗号資産などの「雑所得」)とはルールが異なります。最大のポイントは2つです。
1. 最大50万円の「特別控除」がある
譲渡所得には、年間で最大50万円の「特別控除(とくべつこうじょ)」、つまり「利益から引いていいボーナス枠」があります。この枠のおかげで、年間の売却益が50万円以下であれば、課税される所得はゼロとなり、結果として確定申告も不要になるケースがほとんどです。
(計算式)売却益 − 50万円 = 課税される譲渡所得
先ほどの会話の例で言えば、利益80万円から50万円を引いた「30万円」が課税対象の所得となります。これが「20万円以下なら申告不要」のルールに当てはまらず、申告が必要になる理由です(※実際は他の所得と合算して判断します)。
2. 保有期間が「5年」を超えると税金が半分に!
ここが超重要です! 売却した金(ゴールド)の保有期間によって、税金の計算方法がガラッと変わります。
- 短期譲渡(保有5年以下):利益の全額が課税対象
- 長期譲渡(保有5年超):利益の半額(1/2)が課税対象
例えば、先ほどの「利益80万円(控除後30万円)」のケース。もし保有期間が10年(5年超)なら、課税対象は30万円のさらに半額、「15万円」にまで圧縮されます。この場合、15万円は20万円以下ですので、他に所得がなければ確定申告が不要になる可能性も出てきます。長期保有がいかに税金面で有利かがわかりますね。
価格高騰の今だからこそ、確認を!
「昔に買ったものだから、買った値段なんて覚えていない」という方も多いでしょう。その場合、売却額の5%を取得費(買った値段)とみなす「概算取得費(がいさんしゅとくひ)」というルールもありますが、これは非常に不利になることが多いです。
金の価格がこれほど高騰している今、10年、20年前に購入した金は、ご自身が思っている以上に莫大な利益を生んでいる可能性があります。そして、その利益は特別控除の50万円を簡単に超えてしまうかもしれません。
「これくらいなら大丈夫だろう」という自己判断が一番危険です。売却して大きな利益が出た時、あるいは売却しようか迷っている時は、必ず購入時の価格や保有期間が分かる資料を探してみてください。そして、少しでも不安があれば、私たち専門家にご相談ください。嬉しい利益を、不要なペナルティで減らさないよう、賢く対応していきましょう!