現在議論が進んでいる「飲食料品の消費税を2年間ゼロにする」という施策。先日、高市総理は国会答弁にて、これを非課税ではなく「税率0%の課税取引」として実施すると明らかにしました。「消費者からすれば、どっちも消費税ゼロなんだから同じでしょ?」と思うかもしれません。しかし、モノを売る事業者にとっては、天と地ほどの差がある非常に重要なポイントなのです。
なぜ「非課税」ではなく、あえて「課税取引」という扱いにするのか? その背景にある事業者の負担軽減の仕組みを分かりやすく解説します。
「非課税」と「ゼロ税率の課税取引」は何が違う?
結論から言うと、この違いは「仕入で払った消費税を取り戻せるかどうか」にかかっています。
消費税の基本は、売上で「預かった消費税」から、仕入や経費で「支払った消費税」を差し引いて、残りを国に納めるという仕組みです。これを「仕入税額控除」と呼びます。
「課税の累積」を防ぎ、還付を受けられる仕組み
もし今回の施策が「非課税取引」とされた場合、消費税のルール上、その売上に対応する仕入の消費税は控除することができません。つまり、経費で支払った消費税はすべて事業者の自己負担(コスト増)となり、結果的に商品の値上げなどにつながってしまいます。これを専門用語で「課税の累積」と呼びます。
一方、高市総理が明言した「税率0%の課税取引」であれば話は全く変わります。これは「消費税の対象取引だけれど、税率が特別に0%になっているだけ」という扱いです。
課税取引であれば、仕入で支払った消費税を控除する権利が残ります。計算式にすると「預かった消費税(0円) − 支払った消費税(例えば10万円) = −10万円」となります。このマイナス分は、確定申告をすることで国から「還付(返金)」されることになります。
このように、事業者の不利益や物価高騰を防ぐために、あえて「課税取引」という枠組みが想定されているのです。
対象は「現在の軽減税率8%」の品目
気になる対象品目ですが、現在軽減税率8%が適用されている「飲食料品」が想定されています。つまり、お酒や外食、ケータリングなどは対象外となる見込みです。
政府は超党派の「国民会議」で検討を進め、夏前までに中間とりまとめを行い、早ければ令和8年度(2026年度)の税制改正関連法案としての提出を目指しています。実施時期や、新しく還付申告が必要になる事業者への影響などは、今後の議論の焦点となります。
早めの情報収集と正確な記帳を!
インボイス制度の導入に続き、消費税のルールは目まぐるしく変化しています。もし「飲食料品の消費税ゼロ」が導入されれば、売上の税率区分がさらに複雑になるだけでなく、これまで消費税を納付していた事業者が「還付申告」の対象に変わるケースも出てくるでしょう。
新しい制度が始まってから慌てないためにも、まずは日々の記帳を正確に行い、自社の売上と仕入の消費税区分をしっかりと把握しておくことが第一歩です。今後の動向に注目しつつ、税務処理や資金繰りで不安なことがあれば、いつでも私たち専門家にご相談ください!一緒に強い会社をつくっていきましょう。